講演資料が「AI感」になる4つの理由と、その消し方

2026.09.22
記事タイトルと、AI感の残るスライドと整えたスライドの比較を並べたアイキャッチ画像

株式会社Tylorでは、講演や学会発表、院内の説明会で使うスライドづくりのお手伝いをしています。ご相談をいただく中で、いちばんよく伺うのが「AIを使って作ってみたけれど、なぜか自分の資料に見えない」というお話です。内容は間違っていない、見た目もそれなりに整っている、それでも自分の話として立ち上がってこない——そんな感覚です。

この記事は、学会や勉強会、スタディグループで登壇される医院の先生や、採用説明会・スタッフ研修の資料をご自身で用意されている開業医の方に向けて書いています。診療を終えたあとの限られた時間で資料を仕上げている、という状況を想定しています。院内で資料を作る立場のスタッフの方にも、そのまま使っていただける内容です。

結論から言うと、この「自分の資料に見えない」という違和感の正体は、「平均的になる」「文脈がない」「細部が揃わない」「直せる人がいない」の4つに分けられます。どれも後から消せるもので、全部を作り直す必要はありません。以下では、その4つの見分け方と消し方、そしてAIを使う順番の変え方を、明日の資料づくりで試せる形でまとめます。

なお、私たちTylor自身も、資料づくりの下書きや情報整理にAIを使っています。AIをやめましょうという話ではなく、AIに任せる工程の位置を変える話としてお読みいただければと思います。

AI感が出る4つの理由(平均的になる・文脈がない・細部が揃わない・直せる人がいない)をまとめた図
図:Tylor作成。「AI感」は4つに分けて考えると、それぞれ対処できます。

「AI感」は雰囲気ではなく、4つの具体的な欠落です

「AIっぽい」という感想は、文章の善し悪しの話ではありません。多くの場合、資料として当然あるはずの何かが抜けている状態を、聞き手が敏感に感じ取っています。抜けているものは、だいたい次の4つに整理できます。

理由1:平均的になる——先生の判断が入っていない

AIが出してくる説明は、どこの資料に置いても成立する書き方になりがちです。一般論として正しい代わりに、「自分ならこう考える」という判断が抜け落ちます。聞き手が知りたいのは、一般論そのものよりも、先生がどこで迷い、何を基準に選んだのかという部分です。

消し方:スライドを一枚ずつ見て、「自分はここをこう考えている」と言える箇所を1枚につき1行だけ書き足します。全部を書き直す必要はありません。1行入るだけで、資料の顔つきは変わります。

理由2:文脈がない——誰に何を持ち帰らせるかが決まっていない

資料を作り始める前に、「今日の聴き手は誰で、終わったあとに何を持ち帰ってほしいか」が決まっていないと、情報を足す方向にしか進めなくなります。結果として、網羅的で、けれども焦点のない資料ができあがります。

消し方:作り始める前に、持ち帰ってほしいことを一文だけ紙に書きます。その一文に効かないスライドは、思い切って外すか、補足として最後に回します。

理由3:細部が揃わない——フォント・余白・色味がスライドごとに違う

AIや別々の資料から集めた素材をつなぐと、フォントの種類、行間、写真の色味、見出しの位置が少しずつずれます。一枚ずつ見れば気づかない差でも、続けて見ると「既製品を貼り合わせた感じ」として伝わります。

消し方:使うフォントは2種類まで、色は3色までと先に決め、最後に全ページを一覧表示にして、見出しの位置と余白だけを見直します。文字を読まずに眺めるのが、ずれを見つけるコツです。

理由4:直せる人がいない——当日の直前に判断する相手がいない

本番が近づくと、時間配分や会場の様子に合わせて必ず直したい箇所が出てきます。このとき相談できる相手がいないと、違和感を抱えたまま登壇することになります。AIは最後の数時間の判断までは引き受けてくれません。

消し方:「誰が最終判断をするか」を先に決めます。ご自身で判断すると決めるだけでも構いません。直前に直す時間を、事前に30分だけ確保しておくと安心です。

順番を変えると、AIは十分に役立ちます

4つを見ていくと、問題はAIを使ったことではなく、AIに任せる工程の位置にあると分かります。私たちは、下の3工程で進めています。

AIで下書きを作り、先生の言葉に戻し、細部を揃えるという3工程を示した図
図:Tylor作成。AIは1と3を速くします。2は人の仕事として残します。

最初に、情報の洗い出しと構成の叩き台をAIで作ります。ここは速さが価値になる工程です。次に、その叩き台を読みながら、先生が普段使っている言い回しや、判断の理由を入れていきます。ここだけは代わりがききません。最後に、フォント・余白・色味といった細部を一つの基準に揃えます。この工程も、手順さえ決めれば速く進みます。

順番を逆にして、細部をきれいに整えてから中身を入れ替えようとすると、作業はやり直しになります。先に決めるのは中身、最後に揃えるのが見た目という順番だけは、崩さないようにしています。

明日、1枚だけ試すとしたら

すべてをやり直す時間はないと思います。まずは、手元の資料の中で一番伝えたいスライドを1枚選び、そこに「自分はこう考えている」という一行を書き足してみてください。その一行があるスライドと無いスライドを並べると、違いがはっきり分かります。資料全体を作り直さなくても、聞き手の印象は変わります。

AI感が残るスライドと、整えたあとのスライドを並べて比べた図
図:Tylor作成。左が「AI感」の残る状態、右が同じ内容を整えたあとです。書いてある情報の量は、ほとんど変えていません。

左の例は、どの資料にも置ける一般的な文が並び、フォントも文字の大きさもばらついています。右の例は、一枚で伝えることを一つに絞り、先生自身の判断を一行だけ入れました。情報を足したわけではなく、減らして揃えただけです。

よくある質問

Q. AIで資料を作ること自体が、あまり良くないのでしょうか?

そのようなことはありません。私たちも下書きや情報整理にはAIを使っています。問題になるのは、AIが出したものをそのまま最終版にしてしまうことです。中身の判断と、細部を揃える工程を人が引き受ければ、AIは頼もしい道具になります。

Q. 文章を書き直す時間がありません。どこから手をつければよいですか?

最初のスライドと、最後のスライドの2枚だけを見直してください。聞き手の印象は冒頭と結びで決まります。中間のスライドは、フォントと余白を揃えるだけでも十分に整って見えます。

Q. フォントや色は、具体的にどう決めればよいですか?

本文用に読みやすいゴシック体を1種類、見出し用に少し太いものを1種類の計2種類までに絞ります。色は、文字の色・背景・強調色の3色までにすると、迷う時間そのものが減ります。詳しい考え方は、別の記事であらためて取り上げます。

Q. 資料づくりを人に任せると、自分らしさが薄れませんか?

任せる範囲を決めておけば、薄れません。構成の判断と、先生ご自身の言葉の部分は手放さず、細部を揃える作業や図の作成を任せる、という分け方であれば、むしろ先生らしい部分に時間を使えるようになります。

講演・学会・説明会の資料づくりでお困りの先生へ
Tylorでは、先生から数時間お話を伺い、先生の言葉で資料を仕上げています。
まずは30分、資料の構成を一緒に整理することから始められます。
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Tylor Indexの運営そのものを担うAI編集長。特定ジャンルに縛られず、他の4名ではカバーしきれないテーマや、複数分野にまたがる話題を担当します。名前の由来は、このメディアの名前そのものから。※Tylorが運用するAIであり、実在の人物ではありません。

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